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デンカ株式会社 New Officeプロジェクト
ICTを活用した未来型オフィスの実現
デンカ株式会社は、2018年〜2022年度までの新経営計画として「Denka Value-Up」をスタート。
その成長戦略の一環として、働き方の改革に伴うオフィス空間の刷新を決めた。
プロジェクトのコンセプトは「ICTを活用した未来型オフィスの実現」。
三井デザインテックがコンサルティングを含めて提案した革新的生産性の向上やダイバーシティ推進を図るために欠かせないオフィスの形を紹介する。
新経営計画を進めるデンカ株式会社は、業務プロセス改革の一環として「未来型オフィスレイアウト導入による社内コラボレーションの活性化」「業務の生産性向上」「仕事の場所を選ばない環境の整備」を掲げている。
今回、そのためのオフィスづくりを担った三井デザインテックは、数年前からコンサルティング業務に力を入れており、各社の課題を解決するためのオフィス空間を提案してきた。本プロジェクトは、まさにその好事例のひとつだ。
プロジェクトを率いたコンサルタントの木下貴博氏は、「コンサルティングで大切にしているのは2つ。ひとつが経営層の方々に経営課題や経営目標をヒアリングさせていただき目指すべき方向を定めること。もうひとつが、社員のみなさんがどのように働き方を変えたいと考えているかを聞くことです。トップダウンだけではなく、社員の意見を取り入れながら経営層と社員の理想をつなぎワークプレイスを考えるというプロセスを重要視しています」と話す。
今回も、プランに入る前に社員へのウェブアンケート、在席率や会議室の利用状況の調査によるスペース効率の“見える化”、ワークショップなどを行った。これまでもワークショップは行ってきたが、それによる定性的データだけでなく、アンケートや利用状況の調査による定量的なデータも収集し、両方を掛け合わせて“あるべき姿”を探っていったのだ。
本プロジェクトにおいて解決すべき課題はいくつかあったが、中でも大きな軸になったのが部門間の交流だった。以前は部門ごとにフロアもスペースも分断されていたため、部門が違うと顔を合わせる機会がほとんどなかったという。「部門ごとに業務内容も違えば、1日の時間の使い方も違うので、各部門ごとに代表社員にインタビューを行いました。また、社員の方々を巻き込んでワークショップを重ねながら、経営層が考える“向かうべき方向性”と実際のギャップを洗い出し、フロア構成やレイアウト構成をつくっていきました」と、木下氏。その結果、執務室の中央に偶発的なコミュニケーションを生むためのコラボレーションスペースが設けられた。
また、もうひとつ解決しなければならなかったのが会議室の問題だ。設計担当の西原惟仁氏は「会議室の稼働率を調査していくと、現状の数を減らしても問題がないことがわかりました。そのため稼働率に合わせて適正な数に削減することができました。削減したことで生まれたスペースをさまざまな用途に使用できるオープンなコラボレーションスペースとして計画し、ご提案させていただきました。」社内の打合せは原則コラボレーションスペースや社内用会議室を利用する。
それまで社内打ち合わせは会議室で行われるケースが多かったが、社内の打ち合わせ用にミーティングの種類や社員のモードに合わせてフレキシブルに使える空間を用意。さらに、会議室の予約システムを導入したり、使い方の面で工夫したり、空間づくりとともに運用面も変更した。最終的に来客用会議室数は約半分となったものの、大きな問題はないという。「効率よく会議や打ち合わせをするために、『このように使ってみてはいかがですか?』という提案をしましたが、今までと大きく違うので戸惑いや不安はあったと思います。出来上がったのに使われないのは残念なので、各部門の代表の方にプラン説明の場を設けてもらうなど、事前準備が成功につながりました」と営業担当の岸祐一氏。しかるべきタイミングでしかるべき方々へ、新オフィスの考え方や使い方を説明できたことがスムーズな進行を可能にしたようだ。
そして、デザイナーの広瀬香織氏は「デザインのコンセプトは『Denkaクリエイティブラウンジ』です。ポイントは、Denkaカラーを用いる、社員のエンゲージメントを高める空間、多様なコミュニケーションをうながすさまざまな什器の計画の3点。とくにコラボレーションスペースはみなさんが集まりやすい機能とデザインが提案できたと思います」と話してくれた。
三井デザインテックのコンサルティングが存分に生かされた本プロジェクトについて岸氏は、「お客さま側の事務局とコミュニケーションがうまくとれ、全体を通して、とても順調に進められました。また、コンサルタント、営業、設計、デザイナー、施工と各セクションの担当者がお客さまと直接意思の疎通が図れる環境にあったので総合力が生かせたと思います」と振り返る。また、木下氏は「インテリアデザイン会社のコンサルティングとして大切にしているのはお客さまにどう寄り添っていくかです。働き方を変えるために、お客さまの考えをどのように“場”へと落とし込んでいくかをメンバーが一丸となって考え、実現できました」と話す。
お客さまの働き方の変化とともにオフィスも変わる必要がある。今回のプロジェクトはいったん区切りをむかえたが、メンバーはみな、今後もお客さまに寄り添いながらコンサルティングを取り入れたオフィス空間の提案を続けていきたいと考えている。