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株式会社ユーグレナ 移転プロジェクト
企業の成長とともにオフィス空間に求めるものはどう変わるのか?
本誌Vol.05で紹介した、株式会社ユーグレナが再び移転することとなった。
新築のオフィスビル「G-BASE 田町」に完成したのは、同社の主軸である「サイエンス」を感じさせる空間。
企業の成長とともにオフィス空間に求めるものはどう変わるのか?
前回から進化した点、変わらず大切にしている点など、新しいオフィスの全貌を紹介する。
株式会社ユーグレナが新しいオフィスに移ることになり、2015年に続き、再び三井デザインテックがプロジェクトを担当した。
前回のプロジェクトは企業戦略やPRをサポートする企業との共同作業という新しい試みではあったが、「おもしろいことにチャレンジしたい」というメンバーの思いが形になり、各方面から好評を得た。
それから約3年、ユーグレナの事業は拡大し続けている。それに伴いオフィスも広さが必要で、今回はグループ企業も入居することから、2フロア・総面積は約1.7倍まで拡大した。
しかも、建設が進められている新築ビルへの移転とあって、そちらの工事と内装が同時に進められることになる。営業担当の相庭氏は「新築工事を担当しているゼネコンは、それだけでも手一杯の中で内装工事の対応もするわけですから、とても大変です。弊社から依頼した内装工事だけみても通常の倍近い期間が必要になってくる。それだけに調整やスケジュール管理は難しかったですね」と話す。徹底した進捗管理については、ユーグレナが最初に挙げた2つの要望の1つだっただけにプレッシャーも大きかった。
そして、もう1つの要望がコンセプトをしっかり立ててオフィスづくりをすることだった。デザイン担当の三浦氏は「先方の担当者も一緒にコンセプトを考えたいとのことでしたのでワークショップを行いました。オフィス環境が変わる中でどのような働き方を目指していくのかなどをセッションし、コンセプトやゾーニングを決めていったのですが、前回導入した執務ゾーン内のコミュニケーションエリアの評価が高く、その考え方は生かしたいと言われました」と経緯を話す。
フロア構成は、2階が執務ゾーン、3階が来客ゾーンとなっている。それぞれにテーマがあり、執務ゾーンは「アカデミア」。業務によって固定席とフリーアドレスが選べ、フォーカスルームも設けられている。コミュニケーションの活性化に役立つカフェスペースは食事やリラックスするのはもちろん、仕事ができる設備も整え、フロア全体で多様なワークスタイルに対応できるようにした。さらにユーグレナ初の企業内保育園「ゆーぐりん保育園」も併設している。
一方、「ラボ」をテーマにした来客ゾーンは研究室をイメージしたつくりで、エントランスはユーグレナに関連する情報にふれられる展示ゾーンとなっている。他に、コワーキングスペースやミーティングルームなどを設けた。
相庭氏によると「コワーキングスペースは関連の外部の方も使用できます。コワーキングスペースで働いて、ミーティングルームで打ち合わせをして、またコワーキングスペースへ……というような、スピーディーな働き方をイメージしていて、外部の方を積極的に受け入れたいという強い思いが伝わってきました」とのこと。実際に自身も利用させてもらったが、とても快適だったそうだ。
前回のプロジェクトにも参加していた三浦氏は、今回の移転プロジェクトを振り返り、「前回はやりたいことを一生懸命やるという印象で、ベンチャースピリットを感じましたし、オフィスもユーグレナという企業を伝える“メディアとしてのオフィス”という側面が強かった。今回は、企業としての包容力をつけたいという思いもお持ちで、さまざまな人を受け入れる“器としてのオフィス”を目指しているのが大きく変化した点ですね。2回の移転プロジェクトを担当させてもらったことで、オフィススペースの提案によって、企業の成長をお手伝いできていると実感できました」と話す。
社内外の調整に追われた相庭氏は「良かったところは、良好な人間関係が築けたことです。タイトなスケジュールの中、最初から最後まで一緒につくりあげることができて、最後は『御社に頼んで本当に良かったです』と言っていただけました。頑張ったかいがあったと思います」と笑う。
オフィス空間の提案が企業の生産性向上、成長・発展に寄与することが実感できた今回の移転プロジェクト。これは、今後のオフィスの在り方を考える好事例の1つになったといえるだろう。