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三井デザインテックが取り組むwithコロナ時代における新たなワークプレイス戦略
新型コロナウイルス(COVID-19)に立ち向かいながら、今、多くの企業がワークプレイスのあり方を模索している。新たに始まったwithコロナ時代に、企業は何をすべきか。 課題解決の施策に迷う企業が多いなか、いち早く「withコロナ時代のワークプレイス戦略」を発信した三井デザインテックの取り組みを紹介する。
新型コロナウイルス(COVID-19)に立ち向かいながら、今、多くの企業がワークプレイスのあり方を模索している。新たに始まったwithコロナ時代に、企業は何をすべきか。
課題解決の施策に迷う企業が多いなか、いち早く「withコロナ時代のワークプレイス戦略」を発信した三井デザインテックの取り組みを紹介する。
※取材日:2020年7月

●政府による緊急事態宣言が5月末に解除されてから、オフィスには少しずつ人が戻り始めています。それと同時に各企業では、withコロナ時代のオフィスのあり方の模索が始まりました。三井デザインテックでは6月初旬には「withコロナ・afterコロナ時代におけるワークプレイス戦略」を発表するなど、その内容だけでなく、スピード感のある施策への取り組みも注目されています。
岡村英司氏(以下 岡村):新たなワークプレイスのあり方の検討は、緊急事態宣言がそろそろ解除されると話題になり始めた5月初旬から始まりました。解除された後、すぐに従業員を戻していいのか、戻すとしたら会社はどう対応するべきか。課題は山積でしたが、これまで快適なオフィス空間を提案してきた三井デザインテックだからこそ、withコロナ時代のワークプレイスをいち早く実現する必要があると感じたのです。まず、厚生労働省や日本経済団体連合会などから発表されている新型コロナウイルス感染症対策の指針を集め、徹底的に分析。フェーズを緊急事態宣言下、警戒期間、注意期間の3つに分け、施策検討に入っていきました。そして第一に取り組むべきは、従業員への感染防止と考え、5月中に施策内容を固め、6月には新ワークプレイスに向けたパネルやポスターの設置が始まりました。
●新型コロナウイルスの流行によって強制的に在宅勤務をすることになった状態から、再びオフィスに戻っていくプロセスは、企業にとっても従業員にとっても前例のない取り組みと言えます。出社に関してはまだまだ不安を抱える従業員も多いかと思いますが、withコロナ時代のワークプレイスには、どんな環境整備が大切だと考えましたか?
岡村:在宅勤務を従業員に推奨している企業はまだ多くあります。三井デザインテックでも、出社率を30%以下にするよう指導が行われています。それでも段階的に出社率を上げていくことになると思いますので、その状態を見越して今から対策を立てる必要があると考えました。そこで弊社ではハード面の設備として、座席間での距離確保や消毒ポイントの整備、さらにアクリル板やビニールカーテンによる仕切りの設置を行いました。アクリル板は飛沫感染を防ぐための特注品です。理化学研究所などが行なったスーパーコンピューター「富岳」による飛沫感染予測をもとに、仕切り板は床から140センチ以上必要であると判断。それに沿って高さを決め、さらに板の中央に穴を開け、書類などのやりとりがスムースに行われるようにしました。また、人の接触を軽減するため、オフィス内の動線を一方通行にし、床に矢印をデザインしたシートを貼りました。


●従業員の皆さんの反応はいかがでしたか?
岡村:やはり安心感は感じてくれているようですね。ただ、会社は環境を提供するだけ。大切なのは、従業員が感染拡大予防を意識することです。だからこそ、パネルやポスターなどで、会社がしっかり目に見える施策をすることが大事。そうすることで、「これまでとは違うぞ」「手洗いやうがいを徹底しよう」「自分自身も気をつけなくては」と、個々人への啓蒙に繋がっていくと思うのです。
●取引先のお客様の反応はいかがですか?
岡村:参考にしてくださっているお客様は多いです。新型コロナウイルス感染拡大予防に関する指針は出ていますが、オフィス空間に関する具体的な施策を提案しているところはほとんどありません。2m離れましょうと言っても、それではオフィスに入れない人が出てきてしまいますからね。ではどうすればいいのか。快適なオフィス空間を提案してきた三井デザインテックだからこそ、ユーザー視線で考えたのです。企業にとっても従業員にとっても具体的で、何をどう始めていけばいいか、わかりやすい施策になっていると思います。
●ピクトサインが話題ですね。デザインを手掛ける会社だけに、シンプルでわかりやすいデザイン。これなら使ってみたい企業も多そう!
岡村:ポスターやピクトサインはダウンロードできます。微力ながら社会貢献のつもりで作りました。新たなワークプレイスでの感染拡大の注意喚起や運用ルールの周知として、多くの企業に活用いただきたいですね。
●位置情報アプリを活用した「beacapp HERE」の導入も、新型コロナウイルス感染拡大防止に役立っているそうですね。どのような機能なのでしょうか?
岡村:「beacapp HERE」は、ビーコンとスマートフォンを使ってユーザーの位置をマップ上で確認できるツールです。ユーザーの居場所を検知し、社内における滞在場所・滞在時間をほぼ正確に把握できます。この行動ログがあれば、万が一、感染者が発症した場合、会社は感染者と濃厚接触者の社内での行動追跡を行うことが可能で、その結果、素早く対策を取ることができます。もともとは働き方が多様化し、フリーアドレス制の広まりを期に、従業員同士が、相談などある際に誰がどこにいるかを見つけやすくするために開発されたIoTツールでした。しかし、withコロナ時代のワークプレイスにおいても、新たな利用価値が出てきたと言えるでしょう。「beacapp HERE」の導入で、経営層も従業員も、安心してオフィスワークを行えるはずです。
●最後に、withコロナ時代からafterコロナ時代に移行した際のワークプレイス戦略についてもお聞かせください。新型コロナウイルスの感染リスクが収束した後、リモートワークや在宅ワークの体験を踏まえ、多くの企業がワークプレイス戦略を大きく変化させていくことになるでしょう。 新たなオフィスのあり方とは? そして企業が整備するワークプレイスには何が必要でしょうか?
岡村:after コロナ時代に求められるオフィスの役割とは、単なる仕事場の提供ではなく、企業の文化やアイデンティティを感じ、従業員同士、もしくは企業と従業員を「つなぐ」場所となることだと思います。これからは在宅勤務やリモートワークが当たり前の時代になり、仕事や状況に合わせてワークプレイスを自由に選択する働き方にシフトしていくはずです。皆の働く場所がバラバラになっていくわけですから、企業の文化やアイデンティティを通して「つながる」ことが大切なのです。
また、オフィスワーカーである従業員にとって、これからの時代、一層求められるものは、新しい価値をいかに生み出せるか、ということです。仕事は一人ではできません。複数人の同じ「志」を持った「仲間」がそれぞれの力を最大限発揮し「挑戦」できる環境があるからこそ、新たな価値を生み出すことができるのではないでしょうか。そのためには、企業文化やアイデンティティを共有する「仲間」がつながることが大切です。つまり、偶発的な人や情報との出会いが多くあり、企業や組織が自分を応援していると感じられる、さらには従業員同士の心と心をつなぐ「場」であることが今後求められる新しいオフィスとなっていくでしょう。リモートや在宅勤務等では、上記のような「暗黙知の共有」、「偶発的な出会い」、「心理的安全性の確保」は難しいと考えています。
after コロナの時代にはリアルでつながる価値が現在よりもずっと高まり、オフィスの役割がより重要になってくるでしょう。三井デザインテックとしても、after コロナ時代に相応しい新たなワークプレイスの提案をおこなっていくつもりです。
