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Mitsui Fudosan Co.,Ltd. 「& オフィス」Project
2019年度 第32回「日経ニューオフィス賞 近畿ニューオフィス奨励賞」を受賞した三井不動産関西「&オフィス」。“つながる”ことをテーマにデザイン設計されたこのオフィスは、これからのオフィス像、新しい働き方、ビジネスのあり方を提案したとして、高い評価を得ている。リニューアル後は、グループ企業はもちろん、グループ外の来客も多いそうで、さまざまなコラボレーションとシナジー効果が生まれ始めているのだとか。大阪発信のオフィスイノベーションを紹介する。

オフィスのデザインや設計を手がける人間にとって、もっとも大切なことは“聴く力”を持つことかもしれない。それはお客様のオーダーを聞く、という単純な意味ではない。新しいオフィスを造ることでその企業がどうなりたいのか、何を目指しているのか、言葉としてはなかなか表現されないオフィスへの熱い思いを正確に汲み取り、企業が進むべく未来を描く力が必要なのだ。今回紹介する三井不動産 関西「&オフィス」は、三井デザインテックの“聴く力”を存分に活かしてリニューアルを果たした、いま注目のオフィス空間。「つながる」ことをテーマとし、「オモロイもん」は「オモロイ環境」からうまれる、という遊び心あるデザイン・設計が話題になっている。今回のリニューアルを実現するにあたり、デザイン・設計を担当した三井デザインテックは“フルコンサルティング(コンサルティングからデザイン・設計・工事まで)”体制で支援を行なった。
三井不動産 関西支社から「旧態依然の働き方を変えたい。グループ会社や社外とのつながりをもっと大切にしたい」というオフィスのリニューアルが三井デザインテックに依頼されたのは、2018年春のこと。当時の関西支社は、同フロアに三井不動産レジデンシャル、サンライフ・クリエイションのグループ企業が集まっていながら、ほとんど交流のない状態だった。しかも、近隣ビルに入居する他のグループ企業とも交流は少なく、グループとしてのシナジーを発揮できないでいた。そんな状況を打開しようと「グループ企業がもっとつながり、ビジネスを発展させられるオフィスを作りたい」というのが三井不動産 関西支社からのオーダーだったのだ。しかも、三井デザインテックのフルコンサルティングを受けてその良さを体感し、自らのテナント営業にもグループ企業の力を活かしていきたい、と考えていたそうだ。
コンサルティングを担当した木下貴博氏は、当時を振り返る。「関西支社のリニューアルテーマは“グループシナジーを上げるためのコラボレーションの実現”でした。ただ、一言でコラボレーションと言っても、それを表現するデザイン・設計の方法はさまざまで、三井不動産が求めている本質がどこにあるのか、まずはコンサルティングで見極めていく必要がありました」。リニューアルオフィスの完成までにかかった期間は約10ヶ月。最初の4ヶ月間はコンサルティング期間としてじっくり話を聞き、三井不動産が求めるコラボレーションの概念を少しずつ明確にしていった。そして“つながる”という考え方を共有し、リニューアルすべき本質が見えてきたところで設計担当の平田裕亮氏、西原惟仁氏がチームに加わった。その後デザイナーの木野田千晴氏も加わり、具体的なリニューアル案の提案に至る。工事期間は3ヶ月間だけなので、なんと工事までの7ヶ月間をコンサルティングやデザイン・設計に費やしたことになる。三井不動産 関西支社の思いを具現化するために、フルコンサルティング体制で、目指すべき未来をじっくりと紐解いていった期間があったからこそ、デザインも設計もスムースに受け入れられたという。しかも、無難なものより遊び心のある提案を選んでくれたというから、三井不動産のリニューアルへのモチベーションの高まり、そして三井デザインテックへの深い信頼を感じる。コンサルタント、デザイナー、設計者が一体となって、三井不動産と丁寧にコミュニケーションをとっていった賜物だろう。



設計担当の平田氏は三井デザインテックのフルコンサルティングの特徴を以下のように語る。「コンサルティングによって目指すべきオフィスの方向性が見えてきたら、より具現化するために僕たちも一緒に動き始めます。この”一緒に動く”というのが他者と大きく違うところで、コンサルティングと設計・デザインが常に情報共有しながらスピードとクオリティを保つことができるのは、三井デザインテックのフルコンサルティングの強みかもしれません」。同じく設計担当の西原氏もチームで動く良さを実感する。「無駄と思われる部分を弊社のスキームを使って可視化しました。その結果、不必要な会議室を減らすことに合意いただきました。そして会議室を整理できたことで、グループ企業がオープンに集まることができるコラボレーションエリアをゆったりと造ることができたのです」。そしてデザイナーの木野田氏は「コンサルティングの中で獲得したチームの信頼により、大阪の歴史や文化を紐づけた話題性のある大胆なデザインを提案することが出来た。」と語る。
営業担当として三井不動産の細かい要望に対応した片山裕司氏によると、「&オフィス」は現在、関西エリアのオフィスビルの中でダントツで注目を集めているそう。「当初の狙い通りグルーブ企業が集い、会話が生まれるオフィスになった。コラボレーションエリアには外部からのお客様の来訪も多く、関西有数のクリエイティブな空間になっています!」。
「&オフィス」は2019年8月、第32回日経ニューオフィス賞を受賞した。新たなオフィス像を感じさせるデザイン・設計が高く評価された結果である。“働き方を変えたい”と考え始めた企業の声にじっくりと耳を傾け、その本質を紐解くことから始まった「&オフィス」プロジェクト。大阪発信の”つながる”オフィスイノベーションは、いま、次々と新しいシナジーを生み出している。



